夢で逢えたら -2
「え? あ、ああっ」
隙間から入り込んだ指先がクリトリスを優しく触る。丁寧に小さくゆっくり円を描く。ぬるぬるした感触と、小さくにゅちゅっと鳴る水音が卑猥。
「こんなに濡らして……。ホントに可愛い」
「あ、はぁっ、はぁっ、きゃうっ」
指先で攻められながら耳を軽く噛まれて背中がゾクゾクした。いったん離れた手があたしを仰向けにさせて、そして覆い被さってくる。一瞬彼かとも思ったけど、その声も手も肌の感じも彼じゃない。彼じゃない人がここにいるわけない。いるわけないのに、何が、どうなってるの?
そんな疑問ごと唇をふさがれた。一度軽く重ねて、そして深く舌を入れてくる。探るように執拗に口内を掻き回してから、あたしの舌をちゅっと吸った。
「う、うんんッ?」
パジャマのボタンがぷちぷち外れて、その隙間から入り込んだ手がやわらかく胸をつかんだ。全体を撫でるように手のひらでもんでくれる。
「寝るときはノーブラなんだね」
低く囁く声は、聞き覚えがあるような、ないような。
「だれ? どっから入って……あくっ」
強く乳首をつままれた。痛みを感じるギリギリの強さが気持ちいい。嘘みたいに気持ちいい。
「結構おっぱい大きいね。やわらかい……」
乳首の近くをちゅっと強く吸われた。一瞬の痛みが逆に快感になる。キスマークができちゃいそうだとも思ったけど、でも。
「あなた、誰? あ、んんっ……」
ぐちゅぐちゅ掻き回されてジュースがどんどん溢れてくる。ショーツの中はもうとっくにドロドロになってる。クリトリスを指先で突付かれて乳首を甘く噛まれて、気持ちよさで身体がヒクヒクした。
「脱がすよ」
声と同時に慣れた様子の手がパジャマのウェストに手をかけた。するりとショーツごとズボンが抜き取られる。ひざを開かされて、なぜかあたしは抵抗もせずにいた。剥き出しになったふとももをお腹を、優しく撫ぜる大きな手。
「思った通りだ、綺麗な肌……」
「い、あ、あんっ」
部屋の灯りはさっき全部消した。十五帖のワンルーム全体が真っ暗。目隠しされているみたいに何も見えない。だから、この人にも見えるわけがないのに、でもその手は正確にあたしに触れた。最初から狙っていたようにクリトリスを丁寧になぞった。
「う、うっ」
必死で押さえても洩れてしまう。触られただけでこんなにいいなんて。
「声出していいよ。彼は眠らせた。そう簡単には起きない」
そう言うと同時にずぷっと突き刺した。二本分の指がずぶずぶと入り込んでくる。いったん奥まで入り込み、そしてゆっくりと抜いて浅いところを掻き回してくれる。
「あ、ああっ」
身体がびくっと震えた。
「すごいよ、トロトロになってる」
「ああ、やだあっ」
ぐちゅぐちゅといやらしく鳴る水音。興奮したような息遣いが耳に首すじにかかる。キスが落ちてくる。でも全然イヤじゃない。どうしてイヤじゃないの? どうしてこんなに気持ちいいの?
「ピクピクしてきたね。イきそう?」
優しい声が卑猥に囁く。
「あ、ああっ。くぅ……、ううっ!」
隣に彼が寝てるのに、知らない人にイジられてあたしイきそうになってる。
この人、誰。どこから入ってきたの。どうやって入ってきたの。ああ、ダメ。本当にイきそう。あたし、イっちゃいそうっ!
「イっていいよ。さあ、可愛い声聞かせて」
なんていやらしい言い方するんだろう。でも、どこかバイブレーションを帯びたようなその声がとても心地よくて気持ちよくて、もう、もう……っ!
「あ、あくうっ! うく、う、ああん、あああっ!!」
知らない人なのに! 誰だかわからない人なのに! 隣で彼が寝てるのに!
でもあたしは、その誰だかもわからない人の指を締め付けて、その指に突かれてイジられて掻き回されて身体を震わせていた。苦痛にも似た快感に痙攣する。
「ああっ、あ、ああっ! も、もうダメええっ!!」
身体をエビみたいに跳ねさせてあたしはイった。びくびくと身体が跳ねて、永遠のような数秒の快感が背を貫いて、そして全身の力が抜けた。
「あ、はあ、はあ……。は、あ、ふ、くっ、はぁ、はぁはぁ……」
「イっちゃったね。気持ちよかったね」
くすくすと笑う声が唇をちゅっと吸った。
「じゃあ、今度はこっち」
肩をつかまれて起こされた。手を取られて、そして触れさせられる。見えないけどわかる。これは……。
「舐めて」
言われるのと同時に唇に押し当てられた。避けることだってできるのに、でもあたしはそうはしなかった。先のつるんとした丸い部分にキスをするようにちゅっと吸い付いて、同時に握った手に少し力をこめてごしごしと動かす。何度も何度も、少しずつ場所をずらせながらキスを繰り返した。唾液を垂らして、それを塗り込むように右手の親指と人差し指でくびれの部分をくにくにと優しくこすると、びくっとそれが震えた。
「く、う……」
見えない誰かが低くうめくのが聞こえた。
口でするのは嫌いだって子もいるけど、あたしは結構好き。男の人が声を出してくれたり息が荒くなってくれたりしたら、感じてくれてるんだと思ってすごく嬉しい。
だから、あたしはいつものように熱心に舌を絡ませてそれを舐めた。中から出てきた、ジェルのようなでろっとした液体をぺろぺろと舐めまわしてツバと一緒に飲み込むと、かあっと頬が火照った。強いお酒みたいに妖しい薬みたいに、身体の奥が熱くなる。
あたし、多分、今おかしくなってきてる。どこかが狂ってきてる。だからこんなに感じてるんだ。
頭の片隅に残った理性でそんなことを考えながら、それでもあたしはそのどろっとした苦い液体を夢中で啜り込んだ。舌先で舐め取りながらてっぺんの小さな穴を突付くようにキスをする。強くちゅっと吸い上げると、びくんと手の中で震えるのがわかった。深く咥えてじゅぶじゅぶと音を立てる。全体を唇でしごきながら舌を絡めて、先端を口の上のほうにこすりつけた。
「すごく気持ちいいよ。上手だね」
息を荒げながら伸ばしてきた手があたしのあそこに触れた。浅く掻き回すようにイジられて気持ちよくて、あたしも息が荒くなってしまう。強く吸い上げて握った手で大きくこすっていると不意に後頭部を押さえられた。疑問に思う暇もなく、腰を叩きつけられた。口の中で抜き差しされる。
「う、く……。う」
低く洩れる声でわかる。この人、もうイきそうなんだ。あたし、ちゃんと協力してイかせてあげなくっちゃ。
右手でごしごしこすりながら、段になったくびれを意識して唇で締める。舌を絡めるようにして強く吸うと、それがびくっと震えた。
「出すよっ!」
小さな叫び声と一緒に口の中を激しく使われる。握った手の力をちょっとだけ強めて、のどの奥を突かれないようにしながら、強く舌をこすりつけたその瞬間。
「ううっ! う、ぐ、ぐうっ!」
大きくびくっと震えたそれが口の中に液体を吐き出した。何度もしゃくりあげながら叩きつけてくる。口に溜まる、どろっとした独特の生臭さ。
「う、はぁ、はぁ……」
低く抑えられた荒い息と一緒にそれが抜き取られた。その拍子に、唇の端からこぼれてあごへとトロトロと流れる。
ボタンが全部外されたまま、身体にまとわりついていたパジャマの袖で拭き取りながら、口の中に残ったのをゆっくりと飲み込む。さっきのジェルとおんなじように、一口ごとに身体が、特にあそこが熱くなって行くのがわかる。触られてもいないのにヒクヒクしてる。隙間からこぼれてきてる。
男の人の液って、苦くて美味しいわけじゃないけど、でもこの人のは美味しいような気がする。拭き取らなきゃよかった。そんなことを考えながら唇の端についたのを指ですくってぺろぺろ舐めていると、頬を撫ぜるように手があたしを仰向かせた。
「じゃあ、もう一回。今度は下の口に入れてあげるからね」
わずかに息の乱れが残った声が押し付けてくる。少しだけやわらかくなったそれをあたしは大きく口を開けて咥えた。夢中で舌を絡めて残ったのを吸い上げてこすりつける。顔を動かしてジュプジュプと唇を表面に滑らせると、すぐにさっきよりも硬くなった。
ああん、どうしよう。あたし、すごくすごく、欲しい。
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